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2020 / 03 / 18
私とステラ・アドラー演劇、そしてリンクレイターヴォイス その7
たんぽぽをみつけました。
今は家にいる時間が通常よりも長いので、いつも以上にラジオを聴いています。らじるらじるだと、聞き逃し番組も聴けるのですが、今の私のお気に入りは、「科学と人間」昆虫博士の小松貴先生の講演会です。抱腹絶倒、それでいて圧倒的な語彙力で、ハエや蚊、蜘蛛、蟻、水中、地下にいる昆虫、今週は蝉について延々お話されるのですが、ああ、なんておもしろい!!!私たちは足元の小さな存在を忘れて、忙しくしてきたのです。私にとっては、この小松先生のお話と、ここでなんとか生徒に伝えようとすることは、すごく根っこが似ているように感じてしまいます。いつか、実物の小松先生の講演会に行ってみたいものです。
さて、ステラ・アドラー校の先生方、エレーナとティムとポールの土曜日ワークショップ。ヴォイスのリードは私、ムーブメントはカナダ人のブラッド、詩のリーディングはティムとなりました。
リンクレイターヴォイスでは、20分のウォーミングアップを約半年かけて生徒が自分で出来るようにするのが一つの課題でした。(現在は40分ウォーミングアップです。)今の私のスタジオでは週一回2時間のクラスで、大体7ヶ月かけて習得させています。約56時間になりますね。
身体の認識、呼吸の認識、核なる音の体験、ハミング、核音〜ハミング〜リリース、そこから声の水門を開ける顎と舌、共鳴体に反響させる胸、口、歯、肺の強化エクササイズ、そこから中高音の共鳴体、副鼻腔、鼻梁、頭声、そのあとは、全体に音を回して、最後に言語のテキストワークです。私のHPに写真付きで詳しく載せています。
これを私のリードで参加した生徒に20分のウォーミングアップをさせるものです。このブログを書くにあたって、そうだどこかにあるはず!と探してみましたら、ありました。
当時の私の20分ウォーミングアップのプリントです。もちろんこれを見ながらではリードになりません。お経のように何度も何度も繰り返し、口腔の筋肉で丸暗記しました。ただ丸暗記です。
土曜日、ぞろぞろと教室に集まってくる生徒は顔見知りもいれば、初めて会う人もいます。私の指示で皆が動き出します。小さな小舟ですが、船長はまぎれもなく自分なのです。ぎっちらこ。
終わったあとに、皆口々にthank you~と教室を出ていくのですが、一人の生徒が私のところに来てこう言いました。「私は、ボストンで、クリスティン・リンクレイターさんのヴォイスクラスに参加したことがあるのだけど、今日あなたがやってくれたウォーミングアップは、クリスティンのとまったく同じだったわ!ほんとに同じよ!ありがとう。」
え、同じなんだ。このヴォイスワークの創始者クリスティンさんと。その人の時と同じように彼女は感動してくれているようだ。
エレーナも何度もクラスで語っている師匠、クリスティン。この頃は遥か遥かに遠い人でした。でも、その見知らぬ遠い人との体験と、今日の新米船頭の私のとが、同じよ!という言葉は、こころもとない笹舟には嬉しい重しになりました。クリスティン・リンクレイター、いつかその人に会ってみたいものだなぁ……..羽虫の夢みたいに思いました。
実際、その人に会えたのは、その後12年という年月が過ぎてからでした。
その8に続きます。