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2015 / 03 / 12
3月22日までの歩み その9
アウトドア無縁の私、極寒の地に行くとわかっていて、薄手のセーターとちょっとしたジャケットでたかをくくっておりました。
(大反省)
あくまでも劇の取材だからと自分に
言い聞かせてますが、すっかり一面の雪と氷にウキウキであります。
この旅に出かける前、たかが荷物にゲームを入れようとしていたのを、
私はせっかくの大自然なのだからと、やめさせようとしたのですが、
アザラシ番長の小原さんは、「あ〜、登坂さん、持っていかせなさい。どーぞどーぞ」
とにかく、日頃ほったらかしの我が息子。ゲーム三昧の日々に、これでいいのかと悩む日々ではありましたが、ならば、持っていかせましょうと
出発しましたこの旅です。
たかは、「はい、これはたかくん」と手渡されたすごい望遠レンズ付きのカメラに大感動。バシャバシャと撮り始めます。
小原さんは、著書「流氷の伝言」に、ご自身の子育ての体験や、子供たちが
「好き」を見つけてゆくことの大切さを書かれています。
ですから、たかがとにかく興味を持ったものを撮り始めるのが、私もおもしろく、
たとえば、雪の中の鹿の死骸にものすごい関心を示すわけですね。
死体、バシャバシャバシャ!
そして、アザラシツアーの一行は、もちろん、アザラシの赤ちゃんの写真をとるべく、
現地の方の舟に乗って、流氷を探すべくオホーツク海に出てゆくのです。
それにしても息子、プロの方たちに、「う〜ん、いい写真撮るな〜」なんて言われながら、ひたすら無心に撮ってます。トド見つけたときは、舟の上から「トドだ〜!」って、バシャバシャバシャ!
いい表情とるじゃないのと、母感心。
これは、文字通り流氷の上に乗っけてもらってます。氷の下は水温間違いなく氷点下。
落ちたら心臓麻痺で死んじゃう温度。ひえ〜….でも、アイヌにアザラシ猟を習ったという漁師の方はオホーツクの海を知り尽くしていらして、
この方のガイドなら間違いない。人が乗れる氷がわかるらしく、その上をぴょんぴょん飛んでいらっしゃいました。
フリーランスのカメラマンという方は、ほんとにこういった準備は用意周到なのだと実感しました。大自然を相手にするということは、自分の力ではどうにも出来ないものを相手にするということなので、そこには、一切の奢りも油断も許されないのですね。
常に笑いにみちた撮影の旅ではあっても、彼らは、そこは絶対慎重に事を運ぶというのも、わかりました。
実際、流氷は昔のようにはなくて、ああ、もうアザラシの赤ちゃんには会えないのかな…劇をつくるときには、子供たちには、流氷は無くてね….なんて、事実をお話することになりそうだとおもってたら、いました!いたのです。オホーツクの海、一面の流氷に、一匹の赤ちゃんが!
大自然、一面の氷の上に、ポツネンといた野生の赤ちゃん。
”命”という孤独を見たような気がしました。
それでも、お顔は可愛いのです。
バシャバシャバシャ、息子は無心にシャッターを切っています。
小原さんは、講演会で子供に絶滅の危機にある動物の話をしたあとに
作文を書いてもらうと、みんな地球防衛軍のような内容になってしまうとおっしゃいます。
「地球を守りたい」「自然を守りたい」
しかし、まずは、トンボが「好き」アザラシの赤ちゃんが「好き」….自分の「好き」を見つけ初めて、それを守りたいに繋がると。
「平和」の劇を小学校や中学校で上演したときも、アンケートを必ず取っています。するとほとんどの意見は
「かわいそうだった」「戦争は無くなって欲しい」という内容です。
でも、ある生徒さんが書いてくれた言葉が印象に残っています。
「禎子さんが白血病になっても、楽しいことや嬉しいことがあって、良かったと思いました。」
「戦争」=「悲しい」という感想を今を生きている子供たちに求めるのは、大人の勝手のような気もします。
私も「好き」だから劇をやっているのです。
楽しい旅でありました。
そういえば、帰りの最後の最後まで、たかは持ってきたゲームは一度も開きませんでした。
ゲームよりもおもしろい事があったからです。
さて、いよいよ脚本をまとめます。
悲しいだけじゃなく、子供たちが生き生きとして、「好き」なことをみつけるような内容にしよう。
まずは登場するこどもたちの名前はどうしようかな…..
それは……