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2015 / 02 / 26
3月22日までの歩み その5
と、引っ張っていて、すみません!この叔父のエッセーのラストシーンこそが
こんど朗読劇に脚色して上演する「unseen 〜あんしぃ〜ん〜」
の引き金になりましたので、ここで書いちゃうとネタバレになりますんで、
またいつかちゃんと書きますが、
少年達の8月15日は、読めば読むほど、生きた絵として浮かび上がってきます。声が聞こえるようなのです。
戦争や平和の劇を上演していると、観る側の、こうであって欲しいという要求に苦しくなることがあります。ですが、真実は意外にもあっけらかんとしていたり、楽しい時間があったり、残酷であったり….
これ、いつか物語にしてみたいな……そんな考えがふと浮かびました。
この頃、私はアメリカからずっと上演している劇がありました。
それは「A Thousand Cranes 」という題名で、アメリカ人の劇作家が書いたヒロシマの折鶴の少女のお話です。
とはいっても、この頃は帰国したばかりで、生活もままならない頃で、舞台を打つというよりは、
教会や小学校の体育館でやらせてもらっている、それが精一杯でした。
ある日、あるママ友が、「登坂さ〜〜〜〜ん!!!」って、はあはあ言って一枚の紙を持って来ます。
「これ、これ、ねえ、登坂さんがやっている劇、応募してみたら?」
それは、世田谷パブリックシアターの一般公募の募集でした。これに選ばれたら、
憧れのシアタートラムという劇場で、上演されます。しかも、劇場を借りる金額の心配も無いし、
告知は世田谷区でやってくれる!夢のようです!
しかし、問題は「A Thousand Cranes」は、作者はキャサリン・S・ミラーさん。私のオリジナルではありません。
それに、子供劇として書かれていますから、上演時間が30分強。作品として応募するなら、せめて1時間は欲しい。
しかも、締め切りは明日。
子供たちにご飯あげて、お風呂入れて、寝かしつけて…..
真夜中に考えます。
まあ….無理だな。
劇場……
それは、素晴らしい神聖な場所です。舞台と客席と、照明と、音楽….
人間の動きと声によってその空間は魔法のようになります。
宝塚にいたころは当たり前のように劇場に立たせてもらっていた自分。
退団してみて、そのありがたさを痛感するわけです。
やれやれ…..でも、一冊の写真集に手が伸びます。
森住卓さんの写真集。チェルノブイリで生まれた赤ちゃんの写真。
赤ちゃんと言っていいのか…..
産んだ母親はその赤ちゃんを見て、叫び声を上げて逃げてしまったと解説にあります。
「誰がこのような姿で生まれたいだろう…….」
数分後、PCを開き、キーを打ち始めます。書いてみよう。30分の原作に、そこに行きつくまでの
この目で見て体験した、真実の話をそのまま演劇の手法を用いて、付け足したらどうだろう。そうだ、アメリカで体験したそのものを
語る女性がいて、そのまま、作品を演じるという形に脚色してみよう。淡々と語ってゆくのだ。シンプルに。
明け方に出来た原稿を、ママ友が握りしめて持ってきてくれた
応募用紙と一緒に三軒茶屋の世田谷パブリックシアターに持って行きました。
締め切りギリギリ!
やるだけの事はやったんだから、これでいいや。
そして、一ヶ月後、世田谷パブリックシアターの担当の方から電話がかかってきました。
それは…….